アイツんなかのアクアリウム

「ふつう」の青年の頭の中を駆け巡っているサカナたち。そのスケッチ

はじめてのおしごと決まりました

私はこれまで仕事というものをしたことがなかった。ただ、人の役に立つことをしてその対価をもらう経験自体はしたこと自体はある。ボランティアだ。無償のように見える働きの影で対価として貢献感が与えられている。中にはスポーツドリンクを対価として渡されたこともある。ただ、これはそれを目的にボランティアをしたわけではなくて、結果としてお礼のスポーツドリンクや貢献感をもらったという感じだから仕事にはカウントしないでおく。そう考えると報酬欲しさで働いた経験なんてまったくないことに気づくのだった。

そんな私に仕事の話が舞い込んできた。仕事の名前はサポートティーチャー。母校である都立多摩科学技術高校からの募集、生徒に放課後勉強を教えてほしいとのことで、今年の春に申し込んだのだ。科目は理系科目が望ましく、時給は3,000円で交通費は出ない。放課後の1時間半程度だから大した額にはならないけれど、週3回、1日あたり1.5時間だから月当たり54,000円。これはおいしい。私は未成年で生活保護を受けている関係上、手元に残る額が10,000円ほど多くなっている。54,000円の内残るのは27,800円か。それでも生活扶助の88,700円に対する割合は大きい。勉強用の参考書代にはなりそうだ。TOEFL1回分にもなる。

この仕事、本来なら面接等が行われてから選ばれるものなのだが今年はコロナの影響から面接は行われなかったようだ。はじめに連絡したのが4月か5月頃。その時は選ばれる自信もなかったものだから物理と英語を教えると豪語してしまった。他のサポートティーチャーが大学生なのに私は高卒無職。それだから雇ってもらうためにはと意気込んだ結果が2教科教えることだった。その後7月頃にまだやる気があるのかを確認する電話が来て、本日雇われると伝えられた。

サポートティーチャーになれて嬉しい反面不安もある。私は英語と物理を教えることになったがどちらも程々にしかできない。言うなれば高校で5は取れても大学レベルの知識は持っていないから解説はできないといったところか。

英語ならばボキャブラリーと過去問があればどんな試験でもある程度対応可能である。私も勉強時間の多くを単語の学習と過去問に費やした。当然その一環として色々なメディアを用いて英語に触れる機会は増やすが、それも語彙があってこその話である。そして、私は語彙の増やし方なら軽く教えることができる。この利点は大きい。ただ、文法が苦手で英文邦訳や邦文英訳に関しては手も足も出ない。ここを鍛えてからサポートティーチャーに臨む必要がありそうだ。長文の問題を持ってこられて答えが出せてもそのプロセスを教えられなければ意味がない。自分の英語の読み方の言語化、これを準備する必要がある。

英語はある程度対応可能だが、物理はと言うと教科書レベルでさえ怪しい。微分積分を使った解説なんて以ての外だ。高校物理は毎回テスト前の数日の演習と勘で乗り切って5をとった。誰かに教えられるのは物理基礎くらいではないかと私は思う。電気とか波とかは大の苦手だ。もう一度教科書を読み直す必要性を強く感じている。

そもそも在校生が私達に求める説明はどの程度のものなのだろう。授業の理解ができないからその補助として使いたいのか、それとも受験用の生きた解法を知りたいのか。後者ならば私は殆ど役に立たないだろう。私はTOEFLやACTは受けたけれど、日本の大学は1つも受けなかった。受験は日々の積み重ねと本番前の伸びが物を言う世界だ。日本の大学に向けてそれらをやってこなかった自分が無責任に適当なやり方を教えるわけにはいかない。いくら学校にいたときの成績が良くても教える立場になったときに十分な質を持って教えられなければ、仕事としては失敗なのだ。

副校長は「はじめは誰も教えるのはうまくない。教え手も一緒に成長すればいい」といったようなことを電話で言っていたが、私はそうは思わない。教え方については後からうまくなっていくにしても、最低限の実力はしっかりと持っておきたいものだ。私の初出勤まで残り7日。足りない部分はなるたけ補填していきたい。そんな気持ちから微積から高校物理を見直す参考書をポチった。少しでも理想の形に近づければよいのだが。

人に教えるのはさぞ難しいのだろうな。


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