アイツんなかのアクアリウム

「ふつう」の青年の頭の中を駆け巡っているサカナたち。そのスケッチ

「結婚式のプレゼント」からの空想

概要

以前に<病棟内で>書いたものをブログに移す。それにあたって編集や加筆もする。

本文

幸せなカップルがいる。それをみてどう思うかは人によって異なる。でも、大きくは好感とそうでないものに分けられるだろう。では、好感の中でも2つに分けてみよう。今後の幸せを思ってうれしい気持ちになる、好感。今後生じるだろう問題に悩まされる2人を想像して頬を引きあげる、好感。あなたはどちらだろう。私は後者だ。以下、具体的な空想のスケッチへと移る。<ここまで加筆。以下原文>

T県とカップルが結婚式のプレゼントを受け取った。と、テレビが特集していた。不穏で不吉な将来をほくそ笑みながら空想する人間は私ひとりではないだろう。

3年後、順調だった夫婦での船旅に暗雲立ち込める。世間は「結婚式を贈られた幸せな夫婦」というレッテルを、道ですれ違う度に 彼/彼女 らに視線で貼り付ける。しかし現状はというと......表面のみ取り繕って、中身が空洞化した悲しい夫婦の抜け殻なのであった。外では愉快そうに話し、手をつなぐ。ご近所さんと子供の話もするかもしれない。反面、家では口もろくに利かず、同じ部屋にいることは5分もない。「別れれば良いのでは?」と理性がメスを入れる。しかし、現実がそれを妨げる。別れようにも、世間様の目を気にして、歪なままひとつでいる。こうして、年を食って、ずぶりずぶりと形骸化の深みにはまっていくのだった。そうして20年もすれば介護地獄も待ち受けている...... ああ、 彼/彼女 らは結婚式を贈られさえしなければ、普通のカップルでいられたのだ。気張りもせずに、等身大の、ありのままの姿で。

「結婚式をプレゼントされる」という、幸せな響きいっぱいのことにさえこんな裏があるのかもと考えるのは愉しい。ひとまず過労で男性のほうを殺してから、テレビを消し<そのときは行列のできるラーメン屋について画面を光らせていた>、自室に戻った。この文章、件のカップルに読まれはしないだろうな。なんて考えながら心地よく読書した。ああ、他人の考える、例のカップルのバッドエンドを読みたいと思いながら。夜は更ける。プレゼントのもたらす不幸せは、すでに新婦の妹にまで毒牙をかけていた<妹がいるかは不明>。

あとがき

短めですね。素敵。読んでみて気づいたけど、私<どのサカナかは知らないが>は性格がよろしくないようですね。まあ、こういう風に考える傾向はあるけども。書いているときのもりきよは今の私とは違うのかもな。くれぐれも件のカップルに見られませんように。皆さんの思い描く 彼/彼女 らのストーリー共有してもらえると楽しいな。と思います。

オーナーのついった