アイツんなかのアクアリウム

「ふつう」の青年の頭の中を駆け巡っているサカナたち。そのスケッチ

知人が友人にランクアップした話

先日「人との交流が恋しくなる時期。寂しさ」という記事を書いた。その中で、高校というロールモデルの宝庫から排出されて、人との交わりが少なくなってしまい、物寂しさを感じる。だから、最近は友人に近い知人や、友人とコンタクトを取ろうとしていると書いた。

しかしながら、友人に近い知人にも連絡しにくい相手もいるものだ。例えば、最後に連絡をとったとき、会話の途中で終わってしまっているような相手。或いは最後にコンタクトを取ったのが何年も前で、あけおメッセージすら贈り合わないような相手。

この手の人とは当時どれだけ仲良くて秘密を共有していたとしても、私は連絡を取ることに抵抗を感じてしまう。全く反応がなかったらどうしようとか、キモいやつだと思われないか等を気にしてしまうのだ。

きっと、メッセージを送っても相手は少し驚くくらいで、私との交友を再開してくれるのだろう。

しかし、頭でわかっていてもそれができない。メッセージを作成するだけで送信ボタンを押すことができない。こういうところでもう少し図太く生きられれば、人生観も変わるのかもしれない。

そんな中、とある知人から連絡が来た。彼との最後のちゃんとしたやり取りは1月の中旬。もう半年以上も前だ。その後は1メッセージを贈り合ったくらいでほぼ繋がっていないような仲だった。

メッセージは一言、「ビザの連絡が来ない」だった。

私は笑ってしまった。だって、長期間空いてしまった連絡は「やほほん」とか「ひさしぶり」がつきものだと思っていたからだ。

「やほほん」というのは私の造語だ。久しぶりの挨拶に「やっほー」というのは少し私のキャラクターに合わない。ゆるく会話を始めるための言葉、それが「やほほん」だ。

彼とは高校時代に知り合った。留年して、2回目の2年生で同じクラスだった。その頃はあまり親密な関係は築けていなかった。だが、文化祭で同じ出し物をやることになったこと、私がHLABのサマースクールの話をしたことで一般のクラスメイトよりは仲良くなった。

その後もクラスメートとして話すものの、彼は結構ドライな性格で何を考えているのはわからない。当時の私に言わせれば「両生類みたい」な人間だった。白いウーパールーパー。そんな感じ。

その後の転換期、決定的だったのは私が奨学金を獲得しての米国大学に直接進学しようというビジョンを話したことだったと思う。彼は国内大に進学することに以前から疑問を抱いていたようで、我が校初の海外大ダブル合格を目指して、お互いに励ましながら受験を迎えた。

彼は欧州、私は米国。目的の場所は違うけど英語の資格試験で競ったり、エッセエイを互いに校正し合ったりしたものだ。私が2回目のTOEFL受験を終えたときには、スピーキングができなかった慰めを兼ねて、某国営公園で遊んだりした。

なんだかんだで彼とはもう3年近く付き合っていることになる。友人に最も近い知人の1人だった。

彼はこの9月からチェコプラハへの留学が決まったらしい。英語試験はIELTSで6.5をとっている。さすがだ。高校で彼は泥炭を用いた水の浄化の研究をしていたのだが、大学でもその研究の延長のようなことを学ぶと言っていた。

昨日はお互いの近況を話し、彼が留学中にホームシックになったときの話し相手になる約束等をした。

これは余談なのだが、人生の変換点も同じようなところにあるらしい。私がグループホームに入居する日と彼が飛行機でチェコに飛ぶ日が同じなのだ。面白い。

そんな事を話して2時間位。会話の最後に彼との立ち位置が「知人」から「友人」に変わった。

私の性なのだが、知人と友人の境がわからない。こうしていちいち「私はあなたの友人名乗っていい?」と言わないとなんとなく関係がギクシャクしてしまう。

彼が大学を卒業した後も私は彼を応援したいと思うし、彼としてもそれは同じらしい。とても嬉しかった。

彼の「ビザが来ない」という時間の感覚を超えた突然の発言によって、新しく友人関係になれたと言える。私の周りには変な人が集まるらしい。おもしろい。

私は昔から引っ越しが多いことや、特定のグループに所属しない遊牧民みたいな人間関係を構築していたために、友人というものがめっぽう少ない。というより、何を友人と言っていいのかわからない。

友人を名乗ることにプレッシャーを感じてしまうのだ。これはもしかしたら、優秀な知人を数多く持っているからかもしれない。

私にとっての友人は一般的な「親友」に近いものなのかなと思う。こうすると親友となるのにまたハードルを感じてしまうのだが、これは今は考えないことにしておこう。

なんにしても、この歳でこんな密な友人が作れるとは思っていなかった。お互い励ましながら年をとっていくのかもしれない。QOLがぐんと上がったと思う。

私の持つ片手で数えられるくらいの友人。されらを大事にしていきたい。


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