アイツんなかのアクアリウム

「ふつう」の青年の頭の中を駆け巡っているサカナたち。そのスケッチ

スルメとスメル<匂い>

リクエストもらってから書くまでに長いことかかってしまった。いろいろ要因はあるのだが、一番大きいのは薬の量が増えたことだろう。睡眠剤、正確に言えば副作用に眠気がある薬なのだが、これが増えた。そのために今まで書いていた夜の時間に集中できなくなって、そのまま更新しなくなるという経緯をたどった。これから少しずつ昼の時間に書く、スマホを使って書くなどして定期的な更新を心がけていこうと思う。

さて、スルメとスメルか。おそらく語感のよさが気に入ってリクエストしてもらったのだと思う。私もこういうのを見つけたらどこかに書き留めておくか、誰かに教えるかすると思う。でも、何について書くのか。似たような例を挙げるのでは面白そうだが、短くなりすぎる。無難に連想したものを書いていくのがよいかな。

スルメ、スメルときて何が思いつくだろうか。人によってさまざまな答えがあって当然だと思う。が、「くさや」を思いつく人は多そうだ。くさやは魚醤のようなくさや液につけた魚を干したものだ。干物であってスルメじゃないじゃないか?許しておくれ。どちらも干物だろう。独特なにおいがあるが、うまい。といっても一度しか食べたことがないのだが。えふふ。くさやを作るうえで一番大事なのはくさや液だ。元祖とされるものはにおいが強いらしく、そのなかには200~300年もののくさや液もあるらしい。発酵させてあるため長持ちするのだとか。そこらへんは家によって独自のレシピがあったりするらしい。そしてくさや液に魚を漬ける時間はそんなに長くないらしい。せいぜい1日くらいだとか。私は何百年もつけているのだと勘違いしていた笑 漬けすぎるとどうなるのだろう?おそらくたんぱく質が分解されてうまみが濃くなったり、塩分濃度が高くなったりするのだろう。詳しくないからあまり書かないでおく。

くさやの匂いは銀杏の匂いに似ている。私はこんな癖のある食べ物が好きだ。JRの駅にあるコンビニで秋田県しょっつるに漬けたスルメを売っていたが、あれもうまかった。独特なうまみが絶妙にスルメのうまみを引き出していた。はじめはわずかにしか感じないが、かめばかむほど...... というやつだ。しょっつるもくさや液同様どちらも魚醤に近いといわれるから、くさや液のようなものだろう。これが独特のうまみを作るのだ。

人間にも付き合っていくうちに独特な雰囲気を持つ奴に出会うことがある。「なんだこいつ。今までに見てきた奴と気色が違うぞ」ていう感じの奴。出会えるか、近づけるかは運だが、話せたときはたいてい面白い。はじめは 彼/彼女 の変なところがどうして変なのかをよく話す。何でか向こうも私のことを変だと思っているから、私はまともだと人生経験談を交えて弁解する。これがある程度進むと時事問題、哲学的な話、互いに興味のある分野の話をするようになる。そこでまた違った面白さが出てくる。というのも、先ほどの「お前、変だよ」的なノリの会話でなくなって、普通の話をしているのに、話してのおかしさが切り口として現れるからだ。科学に傾倒するあまり超科学的なものを見てしまっていたり。先の話はあくまで 彼/彼女 の人生ダイジェストだったのだとはっきりわかるくらい、独特の視点が発揮される。この瞬間が私は好きだ。

目の前の 彼/彼女 はくさやなのだ。彼の過ごしてきた時間、経験してきた事柄がくさや液。長い間大切に保管され、使われ、蓄積されてきたもののうえに今の状態がある。そう気がついた。別に変な奴じゃないと話していて面白くないというわけではないが、掘り進めて良くと独特なルーツがあるのもまた事実。だから私は人、特に少し変わった人と話すのが好きなんだなと今改めて思った。疲れすぎない限り、いろいろな人と話してみたいと思う。秘伝のタレを混ぜ合わせて、自分が最もおいしいところをいただくのだ。私の身の上話もしながら整理できるしね。本もくさや液としての役割を果たせそうだ。人生の追体験ができるからね。